コルテス海とゆう海をご存知だろうか。
別名カリフォルニア湾ともよばれるその海洋は、バハカリフォルニア半島と北米大陸の間に細長い形を作っていて、地図上から確認すると秘境のような雰囲気を醸し出している。
あれは2016年7月31日だった。
大好きな番組のひとつである、世界の果てまでイッテQ!を鑑賞していた夜。
番組の中でわたしが最も好む企画、毎年数回しか出番がないオーシャンズ金子が世界中の海の奇跡を低予算と短いスケジュールで無謀に追い求める「プロジェクトQ」が始まった。
今回の最終目的はメキシコのコルテス海で「ムンクイトマキエイの群れを追う」とゆうものだった。(以下テレビ画面を撮ったものなので画質の荒さをご了承ください)
低予算といってもテレビ番組だ、一般ダイバーには真似のできないやり方で捜索は進み、最終的に空からヘリを使って群れの影を探し出し、見事マンタの大群を見つけ出す。
ここまでは私もただ面白おかしく、バラエティ番組特有のジョークに笑いながら放送を楽しんでいるだけだった。
だが、次の瞬間。
海の王者「シャチ」の登場に心の全てを奪われた。
そんなシャチの集団がマンタの群れを襲撃するシーンを見たとき、感動のあまり私の目から自然と涙が流れはじめていた。
シャチがマンタの大群を襲撃する映像はこのとき世界で初めて撮影されたというほど、シャチが捕食している海の中に潜ることは人間にとって超自殺行為なのだ。
シャチは海洋生物の頂点に立つ生物とも言われている。
海の中で最も凶暴で恐ろしい性格であり、サメやクジラすらも捕食する強靭な強さを持っている。
もちろんダイバーである私は海の怖さをそれなりによく知ってはいるが、このコルテスという海のポテンシャルに度肝を抜かれ、全細胞でコルテス海に釘付けになってしまった。
そして将来、絶対メキシコに行き、絶対この海を潜ってやると強く決意した。
そして今日、いよいよその海に潜ろうとしている。
朝からボートに数名のダイバーと一緒に乗り込んだ。
波の高さが「やはりこの海は普通じゃない」とここに来てさらに私に誘いかけてくる。
今回は日本人女性が働くダイビングショップにお世話になったこともあり、街ではまったく見かけなかった日本人ダイバーが船の上に4人いた。
ただ、ここで出会った日本人の方とは全く仲良くなれなかった。
私以外の3人は既にグループ化している様子で「アメリカ横断しながらウロチョロしてる旅人です」と自己紹介する私に返ってきた言葉は「へぇ〜」のみで、輪に入る隙間を感じなかった。
まぁこんなこともあるさ、人間の世界だもの。
そんなことより、目の前に広がる広いコルテス海に潜るときが一刻と近づいてる現実に胸が膨らみ、自然と笑顔が溢れる。
一本目のポイントではハンマーヘッドシャークを狙うとゆう。
いきなりハンマーヘッドを狙うだって?
この海の中ではオーケストラでも演奏されているんだろうか。
(つづく)