
だー!!!!
疲れたー!
しんどー!
シャワー浴びてー!
体ガタガター!
60時間バスに乗って、世界一の大都会ニューヨークにようやく辿りつきました!
うわ〜!いっきにガチャガチャした煌びやかな世界だ。
自然豊かなコロラド州からニューヨークまでの移動は、Greyhound(グレイハウンド)というバスを使いました。
チケット代は$200ぐらいだったかな。
飛行機で移動しても値段はそこまで大きく変わらないのはわかってたんだけど、大好きになったコロラドの大陸を見ながら移動したい気持ちが強かったから、その心に従って長距離バス移動を選んだんだけど、グレイハウンドはちょっと危険だということがわかったよ。
綺麗な言葉の使い方ができないんだけど、グレイハウンドって黒人さんや中流階級以下の人達に利用される事が多いので「快適な移動だったよ!」と言えば嘘になる。
今回のわたしみたいに目的地が遠い場合は乗り換えの数も半端なく、ターミナルで次のバスが出発するまで数時間待つ事もたくさんあった。

ターミナルの中にはたくさんのバスが常に停留していて、どのバスに乗り換えればいいのかわからなくてスタッフさんに尋ねると、
「それ以上近寄るな!クソアジア人!」
って、時々マスクを付けられて門前払いされるような経験もしたり。
それだけでじゃなく、、、
途中から乗り換えた満員バスの中で、わたしの座席まで遠慮なく陣取っている黒人のおばあちゃんに遭遇。
愛
「すみません、ここ私の席なので空けてもらえますか?」
おばあちゃん
「喋りかけんな!ビッチ!」
愛
「でもこの席以外空いてないから、窓際に寄ってもらえませんか?」
おばあちゃん
(…ブツブツブツブツ)
こんな感じで、どれだけお願いしても全然私の席から移動しようとしてくれない変な性格のおばあちゃん;
バスの出発時間になっても全然席を開けてくれないおばあちゃんとのやりとりでバスの後方に立ってると、さすがに運転手さんがやってきて、おばあちゃんをキツめに説得してくれてようやく座れるようになったはいいが、
おばあちゃん
「このラインからこっちに絶対入ってくんなよ、ビッチ!」
席に座ってからもブツブツブツブツと汚い言葉を発する黒人のおばあちゃん。
自分の体や荷物がわたしに当たらないよう、いっぱいいっぱい頑張って窓際に寄ろうとしている;
そんなにアジア人が憎いのか?
それともただ人間を受け入れられないのか?
さすがにこのおばあちゃんの悪態に関しては周りの乗客たちも呆れたもので、
周囲の乗客
「姉ちゃん気にすんなよ!イかれてんだ!」
と、優しい言葉をかけてはくれるのだが、マリファナで確実にキマっている感じの乗客さんなのである。
こうしてバスは無事出発し、イヤホンで音楽を聴きながら目の力を抜いて思考と心を休ませようとすると…
(カチッ!カチッ!)
と妙な音がすぐ隣から聞こえてくる。
え?なんか焦げ臭い…
と思ってパッと右側にいる黒人のおばあちゃんを見た。
すると、、、
おばあちゃんがライターでずっと火をつけようとしていたのだ。
おいおいまじかよ…(涙)
なにやってんだよこの人…
明からさまな感じでなくコソコソと火を付けようとしているのだが、このおばあちゃんが一体何をしたいのか全然わからなかった。
車内はおそらく禁煙だ。
マリファナの匂いはきっと出発前に外から持ち込まれたもので、今現在バスの中で煙を吸っている人はいないことが、わたしに「禁煙車両」だと把握させる。
幸い、おばあちゃんのライターの調子が悪いみたいで火はうまくつかないのだが、明らかに車内は焦げ臭くなっていく。
ついに私以外の人達も車内の異臭に気付いたのか、運転手さんが急になんでもない場所でバスを停車させ車内を見周りはじめた。
ワザとなのか、たまたまなのか、、、
この時、おばあちゃんの手にライターは見えなかった。
運転手さんの車内チェックが終わったあと、バスはまたゆっくり走行を開始した。
合計60時間のバス移動、何度も乗車と乗換を繰り返してきた私の体はクタクタで、目の力を抜くといつの間にか眠ってしまうこともあった。
お金やカメラが入った貴重品側のバックパックは常に抱きかかえながら眠りについた。
数十分後また何もないところでバスが停車したのは、フィラデルフィア辺りだったと思う。
バスが停車すると、いきなり警察官2人が車内に入ってきて、私とおばあちゃんがいる後方後座までやってきた。
警察官は黒人のおばあちゃんにヒアリングを行ったが、まったく話にならないという感じで「車内放火未遂」とみて、おばあちゃんを強制的にバスから下ろした。
この時のおばあちゃんは特に抵抗することも、ブツブツずっと言っていた汚い言葉を吐くこともなく、あっけなく警察官と一緒に素直にバスを降りて行った。。。
この後、おばあちゃんはどうなるんだろうか。
そんな事を小さく考えながら空いた右側の席に目をやり、少しの安心と共にまた眠りについた。
こんな良くない出来事やトラブルも含めて、全ての旅の経験がわたしという人間を作る。
今回のちょっとしたアジア人差別に対しては、あまりにもあからさますぎて特に心が傷付くことはなかった。
いよいよバスはマンハッタンに入り、ポートオーソリティバスターミナルという場所で下車する。
バス停の前の道路を渡るとすぐ目の前がタイムズスクエアだ。
初めて見るマンハッタンの煌びやかな街並みは、素直に「楽しい」と思えた。
だけど、心がそれ以上特別な場所に移動することはなく、ただ娯楽の世界の中で止まったままだった。
その後、ブルックリンでわたしを数日泊めてくれるホストさんと有名なレストランで待ち合わせし、一緒に夕食を食べて、ニューヨークの物価の高さに驚愕する。
これから何日この街に滞在するのだろう。
この寒いコンクリートジャングルで何が起きるんだろう。
なんだか都会がちょっと怖く感じるニューヨーク上陸初日であった。
(つづく)