
どんな職業を目指すにも、社会で協調性を持って生きていける大人を育てるために、大学は必ず「グループワーク」という課題を与えてくる。
個人の試験成績や授業態度が7〜8割、グループワークが2〜3割。その比率で、学年の単位が決まる。
つまり、一人で頑張るだけでは足りない。誰かと一緒にやらなければならない。それが学校というところのルールだ。
わかってたよ。。。わかっていたけれど、実際に始まってみると、これがなかなか一筋縄ではいかなさそうだ。
保育科には、時にグループで取り組む課題が多く用意されている。
なぜなら、子どもは一人で育てるものではなく、園の職員全員と保護者で協力して育てるものだから。
保護者とのコミュニケーション能力も求められるし、自分中心で固定概念でバッキバキなった状態で子育てをすることで、子どもの将来を知らずに狭めてしまうこともある。
音楽の授業は毎回みんなで手をつないで輪になり踊って歌うし、教育心理学や保育総論の頭脳的な授業でさえも「周りの人と相談して考えてみてください」と確実に他者とのディスカッションを求められる。
全てが、保育士になったときのコミュニケーション力と礼節につながっている。頭ではわかる。
ただ、入学早々、18歳の子たちと議題を深めるのは、想像以上に難しい。
心理学に「心理的安全性」という概念がある
人は「この場で何を言っても大丈夫」という感覚がないと、発言しない。クラスが始まってまだ日が浅く、関係性が構築されていない段階では、沈黙が最もリスクの低い選択になる。それは理解できる。
ただ問題は、もう少し構造的なところにある。
自分の意見を言語化するには、まず「自分がどう思っているか」を内省できる必要がある。これは経験と内省の反復によって育つ能力で、18歳にはまだその訓練量が少ない。
スマホとSNSで育った環境が、短い反応(いいね、スタンプ、既読)を主なコミュニケーションとして定着させていることも、おそらく無関係ではない。
それが如実に現れたディスカッションがあった。
お題は「好きな食べ物と、その理由」。
小学校の自己紹介でも使えそうなくらい、やさしい問いだった。
にもかかわらず、「ハンバーグです。理由は美味しいからです」と答える子が、3割近くいた。正直な感想で間違いとは言わないけど、なぜそれを美味しいと思うのかが掘れてないという意味では思考が浅い段階で止まってる。
美味しいから食べる=好きいうのは議題の前提にあるもの。ここでは、なぜ美味しいのか、どんな時に食べたいのか、何が好きなのかまで言語化できて、初めて『自分の意見』になるのですが、統計的に見ても、集団の中で自分の言葉で理由を語れる人の割合は、どの年代でも思ったより少ないのが現実らしい。
ある研究では、成人でも「なぜそう思うか」を3文以上で説明できる人は全体の4割程度という結果もあるので、18歳でその割合が下がるのは、ある意味自然なことかもしれない。
ちなみに私はこう答えました。
「おにぎりです。理由は、自分の好きな具を入れて、好きな大きさで作って、持ち運んでどこでも手軽にエネルギー補給できるからです」
私がこれを最初に発言しても、その後の3割近くが「理由は美味しいから」パターンだった。
ディスカッションというより、出席確認・・・( ´Д`)y
社会人と18歳で、なぜここまで差が出るのか
いやだよね〜、この考え方。でも、一応説明しておきたい。
社会人は「発言しないことのコスト」を体験で知っています。
会議で黙っていれば仕事が止まる。
意見を言わなければ存在しないのと同じ扱いを受ける。
年齢を重ねるごとに失敗を繰り返してきて謙虚になる。
こういった経験の積み重ねが筋肉化しているので、恥ずかしい気持ちはあっても黙ることはしないんですよね。
特に、わたしみたいな何年も異国で外国人と渡り歩いてきた人間には、発言することが怖いとかそういう概念すらもうないからな。。。
18歳の沈黙がデフォルトになりがちなのは悪意ではなく、経験値の差って思えれば慈しみの心を持って対応できるかなぁ。難しいけどね...😓
そんなことを痛感したのが、「LEGOをどれだけ高く詰めるか」というグループワークがあったときです。
授業の狙いとして「高く積み上げるためには土台をしっかりさせなきゃいけない」という、先生の意図がありました。
強い土台なしで大きくなろうとしても、途中で崩れてしまうってことを先生は生徒に体感して欲しかった。
だが、18歳は先生のそんな意図なんてお構いなし...( ´-`)
元気な一人の18歳がLEGOを机の上にジャラーン!って撒き散らし、床に散り散りになるカケラ達...( ´-`)
まだ先生がルールを説明している最中から各々に遊び始める18歳...( ´-`)
「まずはしっかりした土台を作ろうよ...」とかグループで話しあうこともなく、それぞれにLEGOを積み上げていく18歳...( ´-`)
「制限時間終わりー!」って先生が5分前に言ってるのに、できあがった各々のブロックを上に積み重ねて高さを競うことを終わらない18歳達...( ´-`)
アラフォー、もう着いていけません...( ´-`)( ´-`)( ´-`)
こんなグループワークが毎週あるのかと思うと、気は自然と重くなります。。。

消耗しない社会人大学生の、グループワーク攻略法
まず、「場を機能させなきゃ」という社会人の本能を手放しましょう。
ディスカッションの質は自分の責任範囲外だと境界線を引く。
自分がコントロールできるのは、自分の発言と観察だけ。
次に、視点を切り替えること。
保育科の学生として「これが18歳のリアルか」と観察者ポジションに立つ。これは冷めることじゃなく、「脱中心化」という認知技法で、感情的な消耗を防ぐ効果があります。
実際に子どもの発達を学んでいる私には、「3歳児に3回なぜと聞いても答えは返ってこない、でもそれが、その子を嫌いになるわけじゃない」という視点がすでにあるので、それを18歳にも向ければいいのかなと。
そして一番大事なのは、同じ温度の人間と定期的に話すこと。
それは大学にいる社会人じゃなく、家族や恋人や友人でOK。そんな感じで社会人大学生活を有意義にしながら、なんとかやっていくもんだと思う。
前回と同じく、これも一概には言えませんよ。大勢の18歳の中には、頭が下がるぐらい知的で礼節のある子もいるからね〜。大体が授業中に鏡かスマホ見て常に髪の毛さわっとるけどね!知らんけど
(つづく)