
改めてワクチンのことを調べ始めたきっかけは、自分自身のことでした。
4月から大学に通うにあたり、麻疹・風しんの抗体検査と、抗体が不十分な場合はMRワクチンの接種を求められています。
自然からの免疫を信じているので、ワクチンをあえて打つ必要はないというスタンスで生きてきましたが、良い機会なので、もう一度、日本で推奨されている予防接種と向き合ってみました。
この記事の内容
ワクチンの役割をちゃんと整理する
ワクチンの目的は、病気を完全にゼロにすることではなく、重症化を防ぐことにあります。
自然感染とワクチンによる免疫は、同じではない。
- 自然感染のほうが強い免疫がつく
- その一方で、重症化や合併症のリスクも伴う
- ワクチンはリスクを抑えながら免疫をつくる設計
この「リスクとメリットのバランス」をどう考えるかが、判断軸になると感じました。
「MR混合ワクチン」は打つメリットがあると思えた
麻しん(はしか)
麻しんは、非常に感染力が強く、多くは自然に回復しますが、肺炎や脳炎などの重い合併症を起こすこともある病気です。
ただ、乳幼児や免疫が十分でない人は重症化しやすく、高熱と発疹が数日続くことが多いので、看病で休みがとれない家庭環境の場合は、打つメリットはあると思えました。
流行が起きると一気に広がる特性があるため、感染すると社会的に騒がれ、厚生労働省や保健所からも調査が入るようです。
今は、麻しん単体のワクチンは入手困難で、MR混合(風しん・麻しん)ワクチンになっています。
麻しんの合併症リスクを調べてみた
「自然に治る病気」といわれていても、合併症のデータは確認しておきたいと思いました。
国立感染症研究所のデータによると、麻しんにかかった場合の主な合併症の発生率はこうなっています。
- 中耳炎:約7〜9%(最も頻度が高い)
- 肺炎:約1〜6%(死亡原因のひとつ)
- 脳炎:1,000人に約1人(報告により0.5〜1人)
- SSPE:おおよそ1万人〜10万人に1人(特に幼少期感染ではリスクが高いとされる)
特に気になったのがSSPE(亜急性硬化性全脳炎)ですね。
感染から7〜10年後に突然発症し、知能障害・運動障害が進行する難病で、発症から平均6〜9ヶ月で死に至るとされています。頻度は低いけれど、「治った後に起きる」という点が怖いと感じました。
先進国での麻しんの死亡率は、おおよそ0.1%前後(1,000人に1人程度)とされています。
数字だけ見ると低く感じますが、感染力の強さを考えると、集団の中では無視できないリスクだと思います。
国内の感染者数を調べてみた
気になって、国内の実際の感染者数を調べてみました。
日本は、2015年にWHOから「麻しん排除状態」と認定されていますね。
それ以降の年間感染者数は、多い年でも数百人規模。2020〜2022年はコロナの水際対策の影響で年間10例以下、2023年は28例という状況でした。
現在報告される感染者のほとんどは、主に海外からの持ち込みが発端みたいですが、国内で二次感染や小規模な集団感染が起こることはあるかもです。
ただ、2023年以降は渡航者の増加とともに感染者数も増加傾向にあり、今後は注意が必要な状況に変わりつつあります。
MRワクチンの歴史と副作用データを確認してみた
接種を検討するなら、ワクチンの歴史も見ておいた方がいいです。
現在のMRワクチンが日本で承認されたのは2005年、定期接種が始まったのは2006年です。
2026年現在、約20年の接種実績がありますね。
ただし、前身となるワクチンには失敗の歴史があるようで、1988年から1993年まで使われていたMMRワクチン(おたふく風邪も含む3種混合)が、ムンプスワクチンによる無菌性髄膜炎の多発で中止に追い込まれました。
現在のMRワクチンは、その失敗を教訓に問題のあったムンプス部分を除いて設計されたものです。
接種後に発熱・発疹・接種部位の腫れが出ることはあります。
重大な副反応(脳炎・アナフィラキシー・血小板減少性紫斑病など)は非常にまれで、報告ベースでは10万接種あたり数件程度とされています。(因果関係が確定したものではありません)
5年間の報告期間中に接種後の死亡報告はありますが、専門家評価ではワクチンとの因果関係は確認されてないようです。
ひとつ注目したのは、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)の発生率の比較です。
麻しんに自然感染した場合は約1万人〜10万人に1人、MRワクチン接種後は100万人に1人未満と報告されています。
つまり、自然感染によるSSPEのリスクのほうが、ワクチン接種より高いってことになります。
過去に失敗の歴史があること、20年の実績があること、そして合併症リスクとの比較。
それらを知った上で、今回わたしは、MRワクチンを接種するメリットがあるという結論に至りました。
※副作用データは厚生労働省の公式情報で確認しました。
風しん
風しんは、わりと軽い病気のようですが、妊娠初期の女性が感染すると、お腹の胎児に障害が出やすいことから、接種を推奨されているそうです。
社会的な立場を考えると、MRワクチンを接種するメリットはあると思えました。
「全部」か「ゼロ」かではなく、必要な時に必要なものだけ
今回の大学の件をきっかけに、MRワクチンの接種は、私自身行う予定ですが、家族への接種については、今のところまだ必要性を感じていません。
ただし、今後も流行状況や専門家の助言を踏まえながら、柔軟に考えを変えていくつもりです。
ワクチン接種を決める上で大切なのは、
- 感情で決めない
- みんながやっているだけで流されない
- 不安だけで避けない
「とりあえず全部打つ」でも「全部断る」でもなく、必要に応じて、ひとつひとつ考え続けていくことが大事かなと思います。
まとめ:知ったうえで柔軟に選んでいく
予防接種は「当たり前」でも「絶対に拒否」でもなく、理解したうえで選ぶもの。
情報があふれる時代だからこそ、極端に寄らず、考え続ける姿勢を持たないとですね。
もし同じように悩んでいる方がいたら、こちらの本を手に取ってみるといいですよ。
「知る」ことから始めると、不安も落ち着いてきます。
子供と親のためのワクチン読本/母里啓子
元国立公衆衛生院の研究者が、データと現場経験をもとに書かれた本です。
「推奨されているから打つ」ではなく、一つひとつのワクチンを検証する視点を教えてくれます。
予防接種の選び方と病気にならない育児方/黒部信一
2025年12月発売の最新刊で、現在の日本での定期接種スケジュールに沿って、各ワクチンの必要性・リスク・効果を丁寧に解説しています。
「今の情報」で考えたい方に、まず手に取ってほしい1冊です。
どれも「打て」「打つな」の二択ではなく、自分で判断するための知識を与えてくれる本です。


