カンクンで遺跡巡りばっかりして読者さんをつまらなくさせている私ですが、、、
ここに来た目的は、ある場所でダイビングするためなんですよね。
私がこのカンクンで潜りたいのは海はなく、聖なる泉セノーテなのだ。
200万年以上も昔、まだ地球が氷河期だった頃より存在していた洞窟に穴があき、その穴の中に何百万年もの歳月をかけて地下水が貯められて泉となったもの、それが神秘の泉セノーテだ。
カンクンの街があるユカタン半島には、今も昔も地上に川というものはなく、降った雨はすべて地下の水脈に流れ込んでいく。
そうして地下の洞窟に溜まった水が、自然の奇跡により浄化されてこんなに美しい透明な青を創り出す。
ちなみにセノーテは、マヤ語で「聖なる泉」や「命の水」とゆう意味だ。先述した通り、この土地は川がないため、もしもセノーテがなければ農作物が育たず、人々は飢餓に見舞われる可能性もある。
そんなことから、この聖なる泉は「雨の神様」と崇められ、現在でも定期的に雨乞いの儀式などが行われているそうだ。
現地に来ると単なる賑わった観光地にしか見えないが、ちゃんと調べると「神聖」以外の言葉では例えようのないセノーテ。
このユカタン半島だけでも4000カ所以上あるそうだが、まだ発見されていないセノーテもあるだろうから、その数は未知だ。
ってか、フィリピンに住んでるときも「この国には島が7000個もあるんだよ」って教えられたけど、地球って本当に神秘の塊だ。
神様は本当にこの惑星を7日間で作ったんだろうか?どんなデザインセンスだよ!(だから神なのか!)
まぁそんな感じで、セノーテでダイビングするためにカンクンにやってきたわけですが、セノーテに潜れるならどこでもいいってことでもないんです。
私が24歳の頃からずっと夢見ていたのは、グランセノーテに潜ること。
ダイバーになった頃から、ずっとグランセノーテの写真をスマホに入れて「いつか絶対ここで潜る」と決めてた。
100m先までをも見渡せるほどの超透明な水の中を潜っていると「まるで宙に浮いている感覚になる」と、先に潜った誰かが言っていた。また、水面から太陽光が差し込むと、水中に光のカーテンが創られる。
そんな神秘的な光景を絶対にこの目で見たいと思い続け、ついに今、カンクンまでその夢を叶えに来た。
のだが、、、
なんと一ヶ月前、グランセノーテで死亡事故があったため立ち入り禁止になっているという。
まさかこのタイミングで「死亡事故」とゆう最悪のキーワードを聞くことになるとは想像もしなかった。
現地のダイバーに事故の詳細を聞くと、「ガイドの指示を無視したからだよ」と言っていた。
それを聞いて自分でも色々調べてみると、当時一緒に潜っていたダイバーの文章が公開されていて、やはり同じようなことが書かれていた。
ということでグランセノーテでは潜れなくなったが、有名なセノーテは他にもいくつか存在するので、ダイビングは実行できる。
そこがグランセノーテのあの光景とどれぐらい違うのかはわからないけど、ガイドさん曰く「他のセノーテも同じぐらい綺麗だから大丈夫!光のカーテンもちゃんと見れるよ」と言ってくれたので、安心して翌日のダイビングを申し込んだ。
愛
「ついに!長年の夢が叶う!」
そう興奮していたダイビングの前夜だった。
カンクンでわたしのツアーをお世話してくれているメキシカンの男性からメールが入った。
「明日セノーテに行けなくなったから、明後日に変更してくれない?」
愛
「は?!」
愛
「いやいや、無理だよ!明後日はもう飛行機に乗ってカンクン離れるから潜れないって言ったじゃん!」
そう、明日セノーテに潜って夢を叶えたら、明後日はもうメキシコシティに戻る予定で航空券も常に購入してあった。
もしダイビングを明後日に変更してしまうと、最低でも12時間以上は飛行機に乗れなくなる。
水中に長時間(深く)潜ったあとに飛行機に乗ると減圧症になる危険性があるから、最低でも半日以上あけるのが鉄則なのだ。
愛
「お願いだからなんとかして!明日ダイビングできるって言ったのはあなただよ!?」
愛
「私、セノーテで潜るためにカンクンに来たんだよ!?あなた知ってるでしょ!?」
彼
「わかった。なんとかしてみる。じゃあ明日朝8時に…」
この人なら絶対なんとかしてくれると思った。
というのも、昨日行ったトゥルム遺跡のバスツアー含め、カンクン滞在中ずっとこの男性にプランを作ってもらっていたから、彼の人の良さだけは知っていた。
ツアーに参加せず、バスに乗って自力で行こうとしていた私に「ツアーの方が絶対に安くて便利だから!」と話かけてくれたのが、彼だった。
「もうバスのチケット買っちゃったよ!」と言う私に「一緒に返品しに行こう!絶対ツアーのほうが楽しめるから!」と、わざわざ歩いてバスターミナルまで一緒に行ってくれた、とても親切な人だった。
だから、彼ならきっと大丈夫、絶対明日はセノーテダイビングに連れてってくれるって揺るぎなく信じてた。
そして翌朝。
待ち合わせ場所に来た彼はずっと無言で、そのまま私の前を歩き始めた。
なんだかおかしな空気ではあったが、きっと何かのサプライズだろう、このまま何事もなくセノーテダイビングにいけると、わたしは彼の後ろ姿を見ながら普通にそう思っていた。
数分歩くと、ダイビングショップに辿り着いた。
ここで彼はやっと口を開き、カウンターに手をおきながら私にこう言った。
彼
「本当にごめん。何件も確認したけどダメだった」
彼
「セノーテは諦めて、その代わり、コズメル島へ行ってくれ」
愛
「へ・・・・」
愛
「は・・・・・・・?!」
愛
「あの・・・・・・」
お願いやから「嘘だ」と言ってくれませんか…(@_@;)
(つづく)