野生のフクロウに出逢ったとき

おはよ〜(・∀・)

今日もコーテズの続きからです。

昨日、屋上にある配管とボイラーが繋がったようなので、今日は地下で水道管を整備する作業をします。

っとその前に、水道管を繋ぎ合わせるために足りないパーツを調達するため、街にある大きなホームセンターへ、ジミーと買い出しに来ました。

何がどう使うものなのか意味不明で、特に自分が欲しいものを買いに来てるわけでもないんだけど、異国の店に来るのはいつもなんか楽しい。

そういえば、ホームセンターに来る途中、タイヤが雪にハマって走れなくなってる車に遭遇

しかも、ジミーの知り合いだったみたい。

動けない車とジミーの車を紐で繋いで何度か引っ張たんだけど、タイヤが全然雪から外れなくて、スコップで雪を何度もかき分けてから、また車で引っ張っての作業をジミーは救急隊員のように繰り返していた。

しかも、レスキューに必要な道具も全部ジミーの車から四次元ポケットのように出てきたんだけど、これって雪国では普通なのかな?

わたしはやっぱり、ジミーという人間が特殊だと思うんだけど。

とはいえ、雪にはまった車を発見してからのジミーの躊躇ない行動は、見ていて本当に拍手を送りたくなる。

「どうやって車を救出しよう?」なんて悩む数秒もなく、淡々と救出作業をし、10分もかからず車は元通り走るようになった。

この人は本当に、、、どこまでなんでもできる人なんだろう。

帰宅後、ジミーは休憩もせずそのまま地下に入り、水道管の工事を着々と始めだす。

いつものように私もジミーの作業場に(勝手に)お供させてもらうんだけど、真っ暗にくわえて狭く、繋げるパイプをたまにホールドするぐらいしか手伝えそうなことはなかった。

手に着いたら当分取れなさそうな強力なニスを、相変わらず素手で塗っていくジミー。

一通りパイプを繋ぐ工事を観察させてもらい、「先に戻ってるね」と告げ、コナーとパコが待つ部屋へ戻った。

わたしが部屋に戻ってきたときは、夕方に差し掛かかり、太陽が遠く向こうから沈む準備をはじめている頃だった。

暖炉のある温かい部屋に戻ると、いつもと違う光景が私の視界に映った。

常にヤンチャなコナーが、窓際でいつもより激しく吠えまくっているまでは普通なのだが、今日はそれに加えて、常にソファでゆっくり寝ているはずのパコまでが、同じように窓際でギャンギャンと大きく騒いでいた。

ジミーは地下で作業をしているので、来客かな?と思い、2匹がギャン吠えしている窓際へいって窓の外を見てみるが、特に来客の気配はない。


「誰もいないじゃん?」


「・・・・・・・」


「・・・あれ?」


「 ・・・・・え?!」

人の気配はないのだが、確かにナニカの視線を感じた。


「え?!待って?!」

今、私、ナニカと目が合った気がする。

窓の近くで感じた「ナニカ」を目で探した。


「え?何?!なにこれ?!!」


「す・・・すずめ?」

スズメにしては、人間と目があったぐらいの大きな存在感を感じる。

それに、風が吹くたびに羽毛がふわふわと小さく優しく揺れている。

見れば見るほど小さいその生き物は、私の手に乗るほど小さなサイズの動物だった。

この動物の名前が脳にリンクするまで、しばらく時間がかかった。

そして、認識された瞬間、わたしはテーブルの上に置きっぱなしにしていたカメラを無意識に手に取った。

そう、私の目に映ったそれは、、、

小くて、、、

可愛くて、、、、

ふわふわの、、、

フクロウだったのだ。

「野生のフクロウが家にやってきた!」という非現実的光景を認識した瞬間、玄関を勢いよく飛び出した。

そして、ジミーがいる地下にも届いてほしいと思う声で、わたしは大きく叫んだ。

ジミー!!!!フクロウがいる!!!!!

フクロウは、玄関に逆さまになって無造作に置かれた荷台の脚に、それはそれは美しくとまっていた

わたしはこのとき、自分が一体どうやってこのフクロウを咄嗟にカメラに抑えたのか、全く覚えていない。

興奮と感動は、人を無意識に動かすのだろうか。

過去に類のないほどの奇跡が今、目の前で確かに起こっている。

それは、夢と現実の狭間にいるような気持ちだった。

だけどこれは夢ではない。

目の前のフクロウは、その美しく輝く黄金の目で、わたしをストレートに見つめてくれている。

フクロウの目に、わたしはどう映っているんだろう。

コナーとパコは、相変わらず家の中から吠えまくっているが、フクロウに物怖じしている様子はない。

だが、落ち着ける様子じゃないことはわかる。


お願い!警戒しないで!わたし、絶っっっ対あなたに触ったりしないから!

ジェスチャーで片手を上げながら、英語でフクロウにそう言葉をかけた。

そして、腰を落としたままゆっくりゆっくり近寄れるところまで、フクロウに近付いた。

人生で初めて見る野生のフクロウは、噂通り首を自由自在に回転させ、周囲を見渡している

見れば見るほど不思議なフクロウに姿に、心の全てを奪われた。

果てしなく壮大な存在感に、風で小さく揺れる羽毛が可愛いくてたまらない。

あなたは一体、ここに何を探しに来たの?

疲れた羽根を休めに来たの?

夕陽を見に来たの?

こんなところに面白い家があるから気になって見にきたの?

なぜ、あなたは、突然わたしの前に現れたの?

わたしの目にフクロウが映っていた時間は、たったの5分ぐらいだったと思う。

それでも、その時間は永遠と見紛うほど永く思えた。

こんな形で、こんなにも美しい野生のフクロウに出逢えたという奇跡、、、

それは、これまで好奇心だけで続けてきた旅の「意味」を常に問いかけていた自分に、大いなる証明の魔法をかけてもらえた瞬間でもあった。

あらかじめ計算できない奇跡への遭遇、これこそが、わたしが旅をする理由の1つだと。

その後、フクロウさんは、小さな体から大きな羽を空へと伸ばしながら、夕陽に向かって飛んでいった。

わたしも、興奮がおさまらずに体ごと飛んでしまいそうな勢いのまま、ジミーの元へと走った。

(つづく)