ヒューストン3日目。
愛
「NASAも満喫できたことだし、今日はヒューストンでなにしよう」
ジョンには5日間泊まらせてほしいとお願いしているし、明日はクリスマスパーティーへの嬉しいお誘いまで頂いので、それまでちゃんとヒューストン滞在を楽しみたい。
ってことで今日は、クリスマスパーティーで行われるプレゼント交換のために、何かおもしろいプレゼントを探すことにした。
スーパーで探すのもなんだか味気なかったので、色々散策しながら辿り着いたのはヒューストン美術館(The Museum of Fine Arts Houston)だった。
美術館なら何か洒落たプレゼントが見つかるかも!
一応デザイナーという仕事をしてるので、アイデア補給もかねてアートも見てみたい。
ヒューストン美術館に着いた時には常に夕方だったため、あまり写真は撮らずにとにかく館内をできるだけ見て周るようにした。
ヒューストン美術館はとにかく広く、わたしは行けなかったが別館まであるそうだ。
こんなに広いのにギャラリーが少なすぎて妙な感じだった。
でも美術館ってそんなもんなのかも?
足が疲れたので、ここでちょっと休憩。
目の前のスクリーンに流れる作品をボーッと見ていたらジョンからメールがきた。
ジョン
「今夜ミュージック聴きに行こうと思うんだけど、愛も行く?」
愛
「え、行く(・∀・)」
愛
「スーパーに寄ってからもうすぐ家に帰るね!ジョンなんかいる?」
私は速攻で乗り気なことをジョンに返信した。
ジョンと初対面で話したときはクールで淡々とした人なのかなぁと思ってたんだけど、彼はナチュラルに優しくて、本当に色んな事に気を遣ってくれた。
夜、ドライブしながらヒューストンの街を案内してくれたり、地元のスポーツ大会にも連れてってくれたり、それに、彼の友達がいっぱい集まるにもかかわらず、出逢ったばかりの私を気兼ねなくクリスマスパーティーにも誘ってくれた。
声が低くて太いせいで、たまに何を言ってるのかわからない時もあるが、それでもジョンとは常にコミュニケーションができていたのも不思議だった。
スーパーで晩御飯を買ってから家に帰ると、いつもリビングにいるはずのジョンとトリーシャ(ジョンのシェアメイト)が裏のガレージ倉庫で立ち話をしていた。
雰囲気は決して明るくなく、ため息をつく二人。
トリーシャ
「洗濯機が急に壊れちゃって、今修理屋を呼んだから私ミュージック行けなくなっちゃったわ!FACK!」
え〜!修理屋さんは明日でもいいんじゃないの?と心の中では思ったが、明日はクリスマスパーティだし、きっとトリーシャも予定が詰まってるんだろう。
結局、3人で行く予定だったミュージックには、ジョンと私だけで行くことになった。
ジョンが連れてきてくれたミュージックは、アメリカ映画によく出て来そうな建物の2Fにあるバークラブだった。
特に有名ではない地元のアーティスト達が集ってライブをする場所らしいのだが、最後に登場したグループがめちゃくちゃいい感じのアコースティックミュージックを演奏してくれた!
大好きなアコースティック!そしてボーカルがかっこいい!
お酒を飲んでいたことと、席の真横が爆音スピーカーだったせいで、最高に気持ちよく酔ってしまった。
本能のまま踊り出す人もチラホラ。
陽気な人を見ていると、私も無限に楽しくなって行く♪
そんな最高のライブもあっとゆう間に終わってしまった。
バーに来てから2時間後、私は楽しさの絶頂ににいて、このまま家に帰るのは寂しいと思った。
そんな不完全燃焼な気持ちが真横で静かに楽しんでいたジョンに伝わったのか、彼は私にこう言った。
ジョン
「愛に選択肢をあげよう」
ジョン
「このまま家に帰るのと、今からまた違うイベントに行くのと、どっちがいい?」
ジョンがニヤリと笑って私の顔を見た。
愛
「そんなの聞かなくてもわかるじゃん!ジョン!」
私もニヤリと笑って即答した。
私はマリファナもやらないしタバコも吸わないし、お酒が世界から消えても全然困らない人間だ。
そんな私がここまで全身からハイになったのは本当に数年ぶりの出来事だった。
ハメ外しすぎかな?と踊りながら若干思ったけど、体は音に反応して正直に揺れた。
この日は頭も体もグルングルンになるほど飲んで、歌って、踊って、そして笑った。
井戸田潤に激似のアジア系アメリカンに「日本人なの!?」って話かけたり、、、
ノリの良い黒人女性とめっちゃ体を絡ませながら踊ったり、、、
ここまでの記憶はなんとか覚えているが、そのあとは多分ジョンに迷惑かけながら帰ったんだろうなぁ(苦笑)
そして、もうひとつ覚えていることがある。
私はこの夜から、やっぱりジョンといると、すごく居心地がいいということにちゃんと気付き始めたのだ。
(つづく)